![]() 新しい旅のスタイルが生まれつつある
観光地・沖縄が移住地として脚光を浴びるようになって久しいが、近年はまた新しい旅のスタイルが生まれつつあるようだ。住みたいけれどそこまでの決心はつかない。でも、気がつけば沖縄に足を運んでいる。どこの観光地に向かうでもない。いや、めぼしい観光スポットはとうに行き尽くしているのだ。やることといえば、島で知り合った人たちと馴染みの居酒屋やバーで島酒をちびちび飲むことだけ。そう、ただ沖縄に通い詰めることだけを目的としている旅……。 沖縄に通う人が4回以上はザラ、6回以上の人も1割
個人的な話をすると、僕が沖縄に通い始めた80年代半ばから90年代は年に2回強だったが、それでも周囲からは奇異な目でみられたものだった。それがいまや4回以上はザラ、6回以上の人も1割いるというのだから、時代は劇的に変転したといえよう。しかも、これぐらいで驚いてもらっては困るのだ。なんとなれば、東京在住の僕の友人などは沖縄通い30年以上、年間の訪沖が20数回なんて人もいるからだ。この回数にはむろん、ビジネスや出張の回数は含まれていない。すべてプライベート旅行で、なかには日帰りもありという通い方もしている。もはや正気の沙汰ではない通い方だと思うのだが、上には上がいる。茨城県在住のご夫婦にいたっては年間訪沖25回、すなわち羽田〜那覇往復50回という記録をうち立てている。これにはわけがあって、航空会社には1年間に50回飛行機に搭乗すれば繁忙期でも優先的に座席が確保できるという特典があるのだが、なんとそのサービス資格を得るために月に2回以上の沖縄通いを決行したというのである。 沖縄の現状は「住めば都」ではない共通しているのはそれぞれ倹約家で、同僚との飲み会にも顔を出さず、コツコツ旅行資金をためては隙あらば沖縄に通い、旅程をつくるためには休日出勤もいとわない。ひとことでいえば実直な人ばかりなのだ。「おかげで内地の友だちがどんどん減っちゃってさあ」と、苦笑する人もいるが、ではなぜ沖縄に移住しないのか。酸いも甘いも噛み分けた世代の彼らは、沖縄の現状は「住めば都」ではないことをよく理解している。沖縄は失業率が日本一に加えて低賃金で、起業倒産率も高い。本来、移住地として最も向いていないことを沖縄に通いながら実感しているのだ。
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