沖縄移住を果たした人々の声

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住み方あれこれ Vol.3 真境名広幸 彩 夫妻

移住者の先輩

自然にかこまれ飾らず奢らず人生を楽しむ

長年の友人によると、彼女は「ちょっと変なヒト」。生活を共にするご主人によると、「だいぶ変なヒト」。
実際に会った彼女は確かに「ユニークなヒト」である。

彼女とは千葉県出身の真境名彩さん。那覇市出身の広幸さんと5年前に結婚し、現在は読谷村に暮らす専業主婦である。自宅から車で5分ほどの距離にある村保有の畑を借り、野菜作りに精を出し、村役場の運営するカルチャースクールに通うなど、見た目は田舎暮らしを楽しむごくフツーの女性。
ところが話を聞くと、にわかに独特の”彩ワールド“が炸裂するのだ。 彩さんが初めて沖縄を訪れたのは大学3年の終わり。暇つぶしに入ったパチンコ屋で、思いもよらぬ大当たりをしたのがきっかけだ。どうせ、もともとあぶく銭。旅行にでも出かけてパーッと使ってしまおう――そう考えた彩さんは賞金14万円をバッグに入れ、沖縄へと向かうために有明埠頭から船に乗り込んだのだった。

島々を回るうち、彩さんはいつのまにか「沖縄に住もう」と決めていた。子どもの頃に大好きだったTVアニメは「南の島のフローネ」。スイスからオーストラリアへ向かう途中、船が難破し、どことも知れぬ南の島に流れ着いた一家。無人島でのサバイバル生活を通し、主人公のフローネは成長してゆく――といったストーリーで、子ども時代の”夢と冒険“を沖縄の中に見出したのだ。 卒業後、半年間アルバイトをし貯めた30万円を持って再来沖。アパートを借り、仕事を探すつもりで、初日は1泊2,000円のゲストハウスに泊まった。

ひょんなことから17家族の仲間入り

ところが翌朝、訪れた不動産屋で「県内に保証人がいない人には貸せない」と軽くあしらわれてしまう。
肩を落としトボトボ国際通りを歩いていると、目の前に犬にほえられて困っているおばさんがいた。
思わず「大丈夫ですか?」と駆け寄った彩さんに、女性は「あんた、どこから来たの?」 かくかくしかじか、身の上話を打ち明ける彩さん。その時そこへ一人の男性が通りかかった。おばさん、すかさず「えー兄さん、この子住むところがなくて困ってるってよー」。その男性は金融屋を営み、自宅にアパートも併設した人。「それなら、しばらく私のところに来たらいいさー」。こんな話って、やっぱりあるものなのですねー。

居候した那覇市内の家は17人の大所帯。寝坊する子どもたちを起こすためのフライパンの音が毎朝鳴り響き、おばあちゃんは1人井戸に向かって拝んでいる――そんな大家族に囲まれ、自分のアルバイトと、家の手伝い、子どもたちの世話、おじさんとの酒席…あまりの居心地の良さに、彩さんはついつい1年間もお世話になってしまうことになる。

彩さんにとっては家族も同然。広幸さんが結婚のあいさつに行ったのも、彩さんの実家ではなく、その一家が最初だった。それまで何度か遊びに出かけ、既に顔見知りではあったものの、居間に通され父親然として座るおじさんの前に出たときは、おっとりした性格の広幸さんもさすがに緊張でコチコチになってしまったそうだ。

結婚後はホテルのシェフを努める広幸さんの仕事の関係で中部以北に住まいを構えることになった。自然に囲まれた生活をしたいと考えていた2人は恩名村や本部町の一軒家を探して回った。ところが2人の条件に合うような物件はなかなか見つからない。たまたま知人が住んでいた読谷村を調べてみると、家賃も駐車場も安い。
一軒家はダメだったが、アパートの窓からは海も見渡せる。何より静かで、まわりに自然が残っているのにひかれて引越しを決めた。

いつも周りが助けてくれる。感謝・・・

結婚してからも、彩さんの自然体は変わらない。
広幸さんが仕事の昼間は、何かにつけ1人で彼の実家に遊びに行く。

姑の手伝いをするでもなく、ウチナー料理を習うでもなく舅姑とTVを見てご馳走になって帰ってくるのだ。畑仕事に詳しい舅は、彩さんの作業を見てため息をつき、それからは那覇から車を飛ばし、せっせと手伝いに来てくれるようになった。

160人の門中が集まって行う真境名家のグランドゴルフ大会にも気後れすることなく参加。
「お前はいいから、彩だけ寄こせっていわれるんですよ」(広幸さん)。 結婚前にこんな経験がある。
バイト先で年配のお客さんから「マヤー(猫)」と言われたが、その単語を彩さんは知らなかった。すると「お前はナイチャーか? ナイチャーは帰れ!」といきなりの怒声。
普通ならひどく傷つくはずなのだが、彩さんが気になったのは「マヤー」。「沖縄の戦争の悲惨さを知ったら、年配の方々の気持は理解できるし、そんなことでは傷つかない」そうだ。

その細い体に、たくさんのエネルギーを秘めた女性。これからもしなやかに生き、周りのウチナーンチュを幸せな気持ちにさせて欲しいものだ。

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